2014年御翼1月号その2

偶然をチャンスとして受けとめ、結婚はスタートする

 「希望の職に就くことや、結婚したい相手を見つけることは、あくまでもはじめの一歩であり、単に人としての成長の場をとりあえず得たということに過ぎません。結婚も就職も、偶然の出会いに始まって、偶然というハプニングへの対応をくり返しながら日々を織り上げていくということにおいて、よく似ています。出会いという偶然を二人がチャンスとして受けとめるところから、結婚はスタートします。これから起こるさまざまなハプニングに対して、二人で力を合わせて対応していこうとする営みが、結婚です。だから、結婚するにあたって、二人はともに悩み、ともに喜び合うことを誓うのです。ハプニングに出会うたびに自分も変化し、相手も変化する。それでも、夫婦としてともに歩んでいこうという意思だけは変わらない。それを誓い合うのです」という有り難いことを言われるのは、クリスチャン医師の日野原重明先生である(著書『働く。社会で羽ばたくあなたへ』より)
 結婚すると、女性を奴隷のように扱えると思っている男性はいないだろうか。そうではなく、共に神の祝福に預かることができるのが聖書にある結婚の秩序である。
 若い人とって〈結婚〉は、自分の意思と行動力を結集させるいっときのイベントのようなものに映っているのかもしれない。相手を見つけ、二人で結婚を決意して新しい生活をスタートさせ、自分たちの家庭をつくっていく!けれども、よく眺めてみれば、そこにはいかに多くの偶然が介在している。相手を見つけるにしても、そのタイミングで相手に出会うのはまさに偶然だといえる。そして、結婚してから始まる新しい生活の一日一日は、数え切れない偶然の出来事や出会いに対して、二人がどう反応したかの現れだと言える。実は〈結婚〉や〈就職〉というイベントにかぎらず、人生そのものがハプニングという偶然に対する反応の集積なのである。ハプニングによって、苦難や試練を背負い込むこともあるが、偶然があるからこそ予想を超えたチャンスを手にできる可能性も生まれる。そこには、思いがけない成長もあり、喜びもある。予想を超えた成長や、変化に伴う大きな喜びもなければ、喜びとともに湧き上がってくる感謝と謙虚の思いに包まれる機会も手にしづらくなってしまうであろう。ハプニングへの対応を積み重ねるうちに、あなたという人間がつくられ、あなたの仕事やあなたの家庭がかたちづくられていくのだ。そうして、長年苦楽をともにした相手がかけがえのないパートナーであったとわかってくる。
 十五日(日)の午後、教会学校のクリスマス礼拝で、プロのハープ奏者、レベッカ・フラナリー先生が演奏してくださることになった。前日の土曜日、教会にある小型のハープを調弦したところ、十二番弦が切れた。突然のハプニングである。弦を買ってくると言うと、有希子がハープ本体も一応持って行ってみては、と提案してくれた。ハープを車に乗せ、店で楽器をみてもらうと、ハープはハ長調ではなくハ短調(変ロ長調)に調弦するものであったのに、何も知らない私は、ハ長調に合わせていたのだった。それを店の人が正しく調弦し直してくれた。また、十年ぶりに演奏に使われるハープの状態もチェックしてもらい、翌日、安心してフラナリー先生に弾いていただくことができた。
 妻と共に最善を尽くしたところ、カーネギーホールでも演奏されたことのある一流ハープ奏者をお迎えする準備が完璧になされたのであった。そして、夫婦共に、神の国の祝福を共有できた。

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